石井啓一国土交通相は17日の閣議後会見で、熊本地震の被災地などから要望が出ている九州道の料金割引や無料化について、「どのような対応が可能か検討したい」と述べた。国土交通省は、被災者を無料にする一方で、落ち込んだ観光客の回復のため被災者以外は割引対象にする案を検討する。今夏の実施をめざす。
特集:熊本地震 ライフライン情報など
特集:あなたの街の揺れやすさを住所でチェック
熊本地震 災害時の生活情報
無料対象となるのは、自治体が発行する罹災(りさい)証明書の提示を条件とする案が有力だ。被災者以外に対しては、九州観光のための周遊旅行のクーポン券と合わせて九州道の割引券を発行できないか検討している。
ただ、料金の引き下げは、観光客増につながるとの見方がある半面、渋滞が起きて復興の足かせになるとの懸念も出ている。引き下げによる減収分を穴埋めする財源も課題だ。
石井国交相は「物流や交通復旧状況を見極め、過去の大規模災害時の取り扱いとのバランスも踏まえる必要がある」とも述べている。東日本大震災後には、復興支援や観光振興を目的に、東北地方の高速道路が無料化された例がある。