資料写真、安徽省六安市裕安区で、ゴムボートを使って身動きが取れなくなった被災者に水などの物資を運ぶ準備をする救助員(撮影:張■子、■は女へんに亜)。
1961年以来、2番目に多い平均降水量を記録し、河川751本で警戒水位を超え、長江と太湖で流域性大洪水が発生するなど、中国では今年、豪雨による水害が多発し、1998年以降で最も深刻な水害を経験した一年となっている。長江の主流の主な水位観測所の水位が、警戒水位を下回ったのを受け、国家水害・干ばつ対策総指揮部は今月2日、ついに、63日間続いていた長江流域における緊急時対応を解除した。人民日報が報じた。
被災地域広く経済損失も大きかったものの、死者・行方不明者は直近5年比で半減
国家水害・干ばつ対策総指揮部の秘書長、応急管理部の副部長兼水利部副部長を務める周学文氏は、今年の水害には「3アップ、2ダウン」の特徴があると分析する。
「3アップ」は、被災者数、直接的な経済損失、避難した被災者数の増加を指す。まず、被災者を見ると、中国全土28省が水害の影響を受け、被災者数は延べ7047万1000人と、直近5年同期の平均値と比べて17%増となった。直接的な経済損失は、2143億1000万元(1元は約15.5円)と、直近5年同期の平均値と比べて27%増となった。避難した被災者の数は近年で最も多く、中国全土で延べ469万5000人と、直近5年同期の平均値と比べて47.3%増となった。
「2ダウン」は、死者・行方不明者、倒壊した家屋の数の減少を指す。各地がモニタリング、警報を強化し、迅速な行動を起こし、危険が迫る人々を避難させたため、水害が原因の死者・行方不明者は271人と、直近5年同期の平均値と比べて49.8%減となった。今年、水害が原因で倒壊した家屋は7万棟と、直近5年同期の平均値と比べて57.5%減となった。
被災した地域の範囲は広く、経済損失も大きかったものの、死者・行方不明者が直近5年同期の平均値と比べてほぼ半減した。では、人々の命と安全を守るためにどのような対策が講じられたのだろうか?
水害の発展状況に合わせて、国家水害・干ばつ対策総指揮部は、63の業務グループを派遣し、地方の水害対策・救援活動を指導、サポートした。また、重点地域には事前にマンパワーを投入し、迅速に応急措置を講じたり、救援を展開したりした。
今年の水害対策には、解放軍・武装警察部隊から5万9000人が出動し、国家総合性消防救援隊が、被災者21万人以上を、救出したり、避難先に移送したりした。中央企業(中央政府直属の国有企業)は、約10万6000人が、水害対策の任務に就くよう手配し、社会からも1万8000人が積極的に、対策や救援活動に参加した。
また、被災者救済や生産・生活再開などを強化するために中央政府資金25億7500万元が計上され、中央政府が物資19万5000点を緊急調達したほか、1億3400万元相当の水害対策物資が準備された。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年9月7日