あいりん地区に落ちていた注射器。ホームレス支援に取り組むNPO法人「釜ケ崎支援機構」による特別清掃で見つかった=大阪市西成区
元プロ野球選手の清原和博被告(48)の覚醒剤事件で現代の薬物汚染が改めて浮かび上がった。どれほどの薬物が街中に出回っているのか。
清原和博被告に懲役2年6カ月求刑 「薬物に負けた」
特集:清原和博被告
大阪府警のインターネットのサイトにある「落とし物公開情報」。パソコン機器入りのポーチをなくした大学教員の40代男性は、サイトを捜して、驚いた。
「白色結晶」「白色結晶入りポリ袋」「注射器」
落とした可能性がある7都府県の警察のサイトを見たが、こんな記載があるのは大阪府警だけだった。
府警によると2014年までの3年間で、「白色結晶」「白色粉末」など覚醒剤と疑われるものが599点、「葉っぱ」「ハーブ様植物片」など、大麻や危険ドラッグの疑いがあるものが1217点あった。
地域別では、違法薬物の取引が横行する「あいりん地区」がある大阪市西成区が114点。ミナミやキタの繁華街がある同中央区が31点、同北区が29点で続く。あいりん地区の労働者を支援するNPO法人釜ケ崎支援機構の山田実理事長(65)は「最近は目立たなくなってきたが、清掃中に道ばたでよく注射器や違法薬物を見つけた」と話す。
ベテラン捜査員が言う。「密売人は警官を見かけると、道ばたの茂みや塀の向こうにぱっと薬物や注射器を隠す。それが後々、落とし物として上がってくる」。警察官が「拾得者」になることも多い。「発見者が警察に通報だけしたり、無人の交番に置き去りにしたりするケースが大半」だからだ。