舛添氏の政治団体は収入の多くを政党交付金が占める
東京都の舛添要一知事の政治資金の使途をめぐり、「公私混同だ」との批判がやまない。家族とのホテル宿泊費は「誤解を招いた」として返金の意向を示したが、美術品の購入とみられる支出や自宅内に置いた事務所への「家賃」なども問題視されている。一部は、税金が原資の政党交付金が充てられている。20日に再度開かれる記者会見で、舛添氏はどう説明するのか。
「新たな疑惑も指摘されている。早急に回答を」。共産党都議団が19日、舛添氏あてに公開質問状を出した。2時間弱に及んだ13日の会見後、新たに注目を浴びているのが、インターネットオークションサイト「ヤフオク!」で美術品などを購入していたことだ。
問題になっている舛添氏が代表の政治団体は「新党改革比例区第4支部」(2014年解散)▽参院議員時代の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(同)▽都知事就任後の資金管理団体「泰山会」の三つ。朝日新聞が14年までの5年間の政治資金収支報告書を調べたところ、画廊や古美術商、骨董(こっとう)品店などへの支出と、このほかに美術品の購入が裏付けられた支出が計93件総額474万円あった。
研究会は12年、「ヤフオク!」で神奈川県の古美術商から米国の芸術家キース・へリングの原画と手紙を3万1千円で買っていた。領収書には「現代アメリカ社会資料」とあったが、店主によると、舛添氏側からの指示で書いたという。店主は「趣味のためだと思っていた。まさか政治資金で買っていたとは」と驚く。
研究会は同年にも大分県の古美術商から、ヤフオクで南満州鉄道初代総裁・後藤新平の掛け軸を3万3500円で購入。
舛添氏は過去の記者会見でこれらの支出について、「海外の方と交流する際、書や浮世絵などの版画をツールとして、研究資料として活用している」と説明している。(贄川俊、大谷聡)
■自宅事務所に家賃、年500万円
事務所の家賃をめぐっても疑問が生じている。
舛添氏の三つの政治団体の住所地は、東京都世田谷区にある舛添氏の自宅と同じ。支部や研究会などは少なくとも09年以降、「事務所賃借料」「家賃」の名目で毎月約44万円、年約530万円を計上。6年間で計3千万円超に上る。14年4~12月は泰山会が毎月約44万円を計上している。
登記簿や舛添氏の説明によると、事務所は地上3階地下1階建ての自宅の1階と地下1階部分(計約113平方メートル)にある。最寄り駅から徒歩約3分という好立地で、近くの不動産店の店員は「同じ地区の坪単価などから計算すると、月約44万円の賃料は少し割高。30万~40万が妥当ではないか」と話した。
家賃の支払先は、自宅と同じ場所にある舛添氏の妻が代表の株式会社「舛添政治経済研究所」だ。自宅の土地・建物はかつてこの会社が所有していたが、13年2月に舛添氏本人に移った。ただ、支払先はその後もこの会社のままだ。
政治資金が、自宅内にある「ファミリー企業」に家賃名目で流れている形だが、舛添氏の事務所は朝日新聞の取材に19日夜までに回答していない。(小林恵士)