日馬富士(左)を押し出しで破った稀勢の里=竹花徹朗撮影
(22日、大相撲夏場所千秋楽)
勝ち名乗りを受け、土俵から下りた稀勢の里が、「フウッ」と一つ息を吐いた。来場所に綱とりの可能性をつなぐ大一番を、勝ちきった。
日馬富士が低く突っ込んで来た。受け止めて、逆襲。突き放し、おっつけ、相手の上体を起こした。前へ出る動きを止めず、左を差し、体全体で圧力をかけるようにして押し出した。「どっちが横綱か分からない相撲」と八角理事長(元横綱北勝海)。「思い切り行く」というシンプルな作戦に徹して、完勝した。
14勝以上での優勝ならば横綱昇進の可能性が高かった今場所。序盤は快走したが、白鵬の壁を崩せなかった。12連勝のあと連敗し、昇進の可能性は消えた。しかし、千秋楽の取組前に二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は、春場所に続いて今場所も13勝ならば、次の名古屋場所へつなげられるとの考えを示した。そして綱とりの条件を、白星の数を問わない「優勝」に下げた。