水路は崩れ落ちた土砂でふさがっていた=19日、熊本県御船町、浜田綾撮影
熊本地震で震度7の揺れに2度見舞われた熊本県益城(ましき)町など上益城地域5町にある水田の2割近くで、今年の田植えができない可能性があることが県やJAの調べで分かった。用水路の損傷や水田の亀裂などが多発し、6月下旬の田植えに修復作業が間に合わないおそれがあるという。
棚田にコンクリ塊・水路に土砂 被災農家、苦しい選択
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農林水産省によると、熊本県の2015年産の米収穫量は17万8千トンと九州最多。上益城地域は1万8千トンだった。同地域は日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で12年産が最高評価となった県産米「森のくまさん」の産地でもある。
県によると、県内では田畑に水を引く用水路やため池の損傷など農業用施設の被害は3957カ所、亀裂やのり面の崩壊など水田の被害は1940カ所。このうち同地域の農業用施設が2059カ所で5割余、水田が592カ所で3割を占める。益城町のほか、4月16日の本震が起きた布田川断層帯が近くを走る御船町と嘉島町で被害が大きい。
こうした状況を受け、県上益城地域振興局とJAかみましきは、同地域の水田約3500ヘクタールの2割近くで米農家が田植えを断念する可能性があるとみている。水を張って被害が確認されるケースなどで、田植えができない面積が膨らむおそれもあるという。