将棋ソフトとの対戦について語る羽生善治名人=24日、広島県福山市
最強のコンピューターと対戦するプロ棋士を決める「叡王戦」への出場が先日発表された将棋の羽生善治名人(45)が24日、取材に応じ、「いくつかの要素があって出ようと思った。将棋プログラムが本当のところ、どれぐらい強いのかはわからない」と話した。
将棋名人戦タイムライン
第74期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催)第4局が25日から始まるのを前に、対局地の広島県福山市で取材に答えた。
棋士同士で戦う叡王戦を勝ち抜くと、コンピューターと対戦する「電王戦」に出場する。叡王戦はエントリー制をとっており、羽生名人は昨年の第1回は不出場だった。
コンピューターと戦うことについて、羽生名人は「プログラムはそれぞれ個性がある。もし戦うことになったら、それに対する理解を深める必要がある」と語り、棋士との戦いとは異質のものであるという認識を示した。「勝てる自信はあるか」と問われると、「研究も分析もしたことがないので、何も言えない」と応じた。
囲碁界では3月、人工知能(AI)が世界最強棋士の1人を破って注目された。羽生名人は「囲碁のAIは汎用(はんよう)性があるが、将棋の場合は未知数だと思う。ただ、状況がガラッと変わるかもしれない。関心を持ってやっていきたい」と述べた。
将棋プログラムは、2013年に「PONANZA(ポナンザ)」が公式の舞台で初めて現役棋士に勝利。その後も複数のソフトがタイトル獲得経験のある棋士を度々破ってきた。今年の電王戦でも、ポナンザが山崎隆之八段に2連勝して、強さを見せつけた。(村瀬信也)