米国のオバマ大統領は25日夜、主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)出席のために来日する。同日には安倍晋三首相との首脳会談を予定しているほか、27日には、71年前の原爆投下以来、現職米大統領として初めて被爆地・広島を訪問し、「核なき世界」を訴えると共に、困難な歴史を乗り越える「和解」の重要性を強調する。
オバマ大統領の来日は2年1カ月ぶりで2009年の就任以来4回目となる。
ベトナム訪問を終えたオバマ氏は25日夜、中部空港を経由して、G7首脳会議が開かれる三重県・伊勢志摩に向かい、安倍首相と午後9時半から首脳会談を行う予定だ。
首脳会談では、安倍首相が沖縄で起きた米軍属の男による死体遺棄容疑事件で米側に抗議し、実効性のある再発防止策を講じるよう申し入れる見通しだ。菅義偉官房長官は25日の記者会見で「安倍首相からオバマ大統領に、国民の気持ちを踏まえ、厳正な対処を求めていくことになる」と述べた。
オバマ氏が09年のプラハ演説で訴えた「核なき世界」については、被爆国・日本と共に核軍縮・不拡散で協力し、核廃絶を目指して連携していくことも確認するとみられる。
このほか、かつて敵国として戦った日米両国が戦後、成熟した同盟国関係を構築したことを振り返り、不幸な歴史を乗り越える対話と和解の重要性や、未来志向で歴史問題に取り組んでいくことも確認する。さらに環太平洋経済連携協定(TPP)についても、両国が推進していく方針で一致する見通しだ。
一方、26日に開幕するG7首脳会議では、国際経済やテロ対策、難民問題などで協議。中国が人工島構築を加速化させている南シナ海問題など海洋の安全保障についても議論する。
27日には、オバマ氏が以前から意欲を示してきた広島訪問を実現させる。平和記念公園で、安倍首相とともに原爆死没者慰霊碑に献花。「核なき世界」に向けた声明も発表する予定だ。(佐藤武嗣、安倍龍太郎)