伊勢志摩サミット出席のため、新幹線で名古屋駅に到着した安倍晋三首相と昭恵夫人=25日午後1時49分、吉本美奈子撮影
8年ぶりに日本で開く主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が26日、開幕する。議長を務める安倍晋三首相は、世界経済を下支えするため、協調して景気対策などの財政出動に取り組む姿勢を打ち出したい考えで、先進国がどこまで足並みをそろえられるかが焦点となる。
特集:伊勢志摩サミット
G7を構成する日米欧は、市場に出回るお金を増やすことで景気を良くしようとする大規模な金融緩和に取り組んでいる。それでも、世界経済は中国など新興国を中心に減速しつつあることから、27日に採択する首脳宣言では、先進国が協調して財政支出を増やしたり、中長期的な経済成長を促す構造改革に取り組んだりする姿勢を明確にすることをめざしている。
ただ、仙台市で開いたG7財務相・中央銀行総裁会議では、財政規律を重んじるドイツと英国が財政支出の拡大に慎重な姿勢を崩さなかった。首脳間の話し合いでも進展しなければ、金融・財政政策と構造改革を「各国の事情に応じて進める」ことの確認にとどまる可能性がある。
政治・外交分野では、水際対策の強化を盛り込んだテロ対策行動計画をまとめる。難民問題では、日本もシリア難民を留学生として受け入れる方針だ。また、南シナ海などへの進出を強める中国を念頭に、首脳宣言では「挑発的な一方的行動」に対する「強い反対」を盛り込む方向だ。
26日午前には、各国首脳がそろって伊勢神宮を訪問。同日午後から世界経済や政治・外交分野の議論に入り、27日に首脳宣言を採択して閉幕する。27日には、ラオスやチャドなど計7カ国の首脳らを招き、アジアの経済成長や開発問題をテーマに拡大会合も開催。翌28日には名古屋市内で二国間会談も予定されている。(小林豪)