オバマ米大統領にはがきを送り続けてきた小橋川共行さん=25日、沖縄県名護市辺野古、矢島大輔撮影
オバマ米大統領に沖縄の米軍基地問題を考えてもらおうと、2年半にわたってはがきを出し続けている人がいる。沖縄県うるま市の小橋川共行さん(73)。今月、地元に住む女性会社員が遺体でみつかり、元米兵の軍属が死体遺棄容疑で逮捕された。「広島訪問に踏み切る大統領に、沖縄の現実も見てほしい」と話している。
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《Dear President Obama》と宛名書きされたはがき。沖縄の伝統模様「紅型」のデザインがあしらわれ、宛先はホワイトハウスだ。「普天間飛行場を返還してください」との英文が印刷されている。「県民の声は日米両政府にずっと無視されてきた。核廃絶を訴えたオバマ大統領なら、沖縄の気持ちを理解してくれると思って」
小学校の教員だった小橋川さん。基地は無い方がいいと思っていたが、反対運動には積極的に関わってこなかった。退職後、オスプレイの米軍普天間飛行場(宜野湾市)配備計画を知り、気持ちが変わった。
市街地に囲まれた基地に、危険性を指摘されているオスプレイを配備するとは。「当時、孫が生まれたばかりだった。私たちの命は、そんなに軽いのか」。妻の故郷うるま市で半世紀前に起きた米軍機の事故が脳裏をよぎった。小学校に墜落し、児童ら17人が死亡。犠牲者の一人は妻のおじだった。
大統領に手紙を書こう。2013年末から始め、周囲にも呼びかけてはがきを渡した。退職金を使って用意したはがきは、これまで約7万通に達した。声は、まだ届いていない。オスプレイは日常的に沖縄の空を飛び、同じ街に住む20歳の女性の命も失われた。
小橋川さんは25日朝、普天間の移設先とされる名護市辺野古で、移設反対と事件への抗議を示す集会に参加した。「オバマさん。沖縄にも来て、自分の目で見て、70年以上変わらない現状を動かしてほしい」と話している。(矢島大輔)