前橋育英―横浜 三回表前橋育英1死満塁、飯島の左前適時打で三塁走者の長谷川が生還し、ベンチ前でハイタッチをかわす=上毛新聞敷島
第68回春季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)の決勝が25日、前橋市の上毛新聞敷島球場であり、前橋育英(群馬)が横浜(神奈川)を5―1で下し、初優勝を決めた。群馬県勢の優勝は2012年の健大高崎以来。決して前評判は高くなかったが、安定した投手力に好機での集中打で強豪を破った。
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■強い相手、スイッチ入る 佐藤優人投手
「走者を許しても、点をとられないのが良い投手だと思う」。前橋育英のエース佐藤優人(3年)は大会前、良い投手の条件についてそう答えた。
春の県大会は本調子からほど遠かった。18回3分の2を投げて自責点は9、与四死球は10。冬にけがをして調整も遅れた。フォームを見直し、下半身の力が逃げないように修正した。
この日、得点圏に走者を背負ったのは5度。「低め、低め」を意識した投球を心がけていた。
八回、直前の攻撃にバント失敗があり、流れが変わりかねない場面だった。連打を浴び、1死一、二塁と走者を背負って4番打者を迎えた。カウント3―0。「四球でもいいから思い切りいこう」と、137キロの直球で中飛に。次打者も138キロの直球でつまらせて中飛に打ちとった。
九回も走者を出したが、結局、点を取られたのは七回の1点だけだった。
「強い相手の方が、スイッチが入るんです」。昨春の関東大会では優勝した浦和学院(埼玉)戦、今春の県大会では樹徳戦でそれぞれ救援し、ともに4回を無失点に抑えた。決勝も前日に21安打放った横浜打線に「気持ちだけでは負けないように」と強気で投げた。
昨春、県大会で王者になりながら夏は初戦敗退。「悔しさが今も残っている」。本番はこれからだ。(角詠之)