第20回手塚治虫文化賞記念イベントでは、西原理恵子さん(壇上中央)が記憶を頼りに鉄腕アトムを描いてしりあがり寿さん(同左)と対決する「画力対決七番勝負」などで会場が沸いた=29日午後、東京都千代田区の有楽町朝日ホール、池永牧子撮影
第20回の節目を今年迎えた手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式が29日、東京の有楽町朝日ホールで開かれた。マンガ大賞に選ばれた「鼻紙写楽」の一ノ関圭さんと「よつばと!」のあずまきよひこさん、新生賞の安藤ゆきさん、短編賞の中崎タツヤさん、特別賞の京都国際マンガミュージアムにそれぞれ、鉄腕アトムのブロンズ像と副賞100万円が贈られた。記念イベントも行われ、満席の会場が盛り上がった。
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一ノ関さんは「マンガ家が長距離ランナーなら、編集者はランナーより孤独な伴走者です。この賞は皆さんのおかげです」とあいさつ。あずまさんは「読者の皆様、単行本を出すのが遅くてすみません。この次も待たせます。焦らずゆっくり待っていて下さい」とユーモアを交え受賞の言葉を述べた。
記念イベントでは、第9回短編賞の西原理恵子さんと第5回マンガ優秀賞のしりあがり寿さんが「画力対決七番勝負 ふたりとも、10年経って絵は上手(うま)くなりましたか?」で登壇した。2006年の記念イベントの再戦。お題に対し、2人がその場で描いたアトムやブラック・ジャック、ドラえもんなどがスクリーンに映されると、その個性派ぶりに客席が沸いた。
第3回と第9回のマンガ大賞受賞者・浦沢直樹さんと「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰の糸井重里さんとの対談も。「手塚先生ほど絵柄を変えていった人はいない。ブラック・ジャックの目の描き方には劇画への対抗意識が読み取れる」などと、絵を示しつつ解説した。
京都国際マンガミュージアムを京都市と共同で運営する京都精華大の学長でマンガ家の竹宮惠子さんの受賞記念トークもあった。竹宮さんは「マンガは消えやすい文化。原稿を資料として保存し、歴史を振り返る機会を与えるのがミュージアムの役割」と話した。(小原篤)