他人からのiPS細胞の移植の流れ
理化学研究所や京都大などのチームは6日、世界で初めて他人のiPS細胞から作った網膜の組織を患者に移植する臨床研究の計画を発表した。あらかじめ品質を確認した細胞を多くの患者に使えるため、患者自身のiPS細胞を使う移植と比べて費用や時間を減らせる。来年にも始める予定で、うまくいけば、ほかの病気でもiPS細胞を使った治療が広がる可能性がある。
計画では、失明の恐れがあり、国内に推計70万人いる加齢黄斑変性の患者約10人を対象に、iPS細胞から作った網膜の組織の色素上皮を移植する。今回は安全性の確認が主で、大幅な視力の改善は見込めないという。京大iPS細胞研究所(CiRA)がiPS細胞を提供し、大阪大と神戸市立医療センター中央市民病院で手術する。
移植には、健康な他人の細胞から作って品質を確認した「iPS細胞ストック」を使う。通常、他人のiPS細胞を使うと拒絶反応が起きるが、ストックは多くの日本人に拒絶反応が起きにくい特殊な免疫の型を持つ人の細胞から作る。
型が合う患者に移植すれば、免疫抑制剤をほとんど使わずにすむ可能性がある。今回は日本人の約17%と型が合う細胞を使う。