気象庁が大雨などで重大な災害が起きる恐れが著しく大きいとして「特別警報」を出した265市町村のうち、発表前に住民に早期避難を呼びかけた市町村は25%にとどまることがわかった。国は特別警報が出るような大雨では、市町村が事前に避難の判断をすべきだとしている。気象庁は市町村が早めに避難を判断できるように、防災気象情報の提供を早める試行を始める。
気象庁が出す防災気象情報は「注意報」「警報」「特別警報」の順で危険度が高くなる。特別警報はこれまでに5度の大雨や台風で出た。対象の265市町村を総務省消防庁や気象庁の資料をもとに調べたところ、52%にあたる137市町村が避難勧告や指示を出していた。しかし、特別警報が発表される前に避難勧告・指示を出していたのは66市町村にとどまった(台風の場合は早期避難が必要な高潮特別警報で判断)。
豪雨や土砂災害の場合、特別警報が出た時にはすでに災害が起きていることがあり、危険な場所では手遅れになる場合がある。
内閣府が定めた避難勧告などの判断指針では、市町村は大雨などの特別警報発表前に、気象庁が発表する警報や土砂災害警戒情報などの防災気象情報を生かし、危険な場所を絞りこんで避難を呼びかけるべきだとしている。特別警報が発表された時点では、避難勧告などがすでに出されていることを住民に改めて周知するよう求めている。