映画の一場面。日本を訪れた李さんの両親=ミューズの里「かけはし制作委員会」提供
「日本と韓国のかけ橋になりたい」。16年前、そんな夢を抱いていた一人の韓国人留学生が日本で列車事故の犠牲になった。その遺志を継いだ両親らの活動を取り上げたドキュメンタリー映画が4日から、都内の映画館で公開される。制作者は「日韓をつなぐ本当のかけ橋は、地道で誠実な交流でこそ築かれると気づいてほしい」と願う。
映画のタイトルは「かけはし」。2001年1月26日、JR新大久保駅(東京都新宿区)で、ホームから落ちた男性を助けようと線路に下りた韓国人留学生李秀賢(イスヒョン)さん(当時26)が入ってきた電車にはねられ、亡くなった。映画は、李さんの遺志を継いで両親が続ける留学生支援や、若者の日韓交流の様子を記録している。
正義感が強く、きちょうめんな性格だった李さんは、時間に遅れず、交通ルールを守る日本人の律義さを好んでいたという。00年に来日し、「将来は両国のかけ橋になりたい」と日本語学校で学んだ。
李さんの両親は「息子と同じように、母国と日本のかけ橋になりたいと願う若者を支援したい」と、全国から寄せられた弔慰金を海外から来日した留学生の奨学金にあてる活動に取り組んできた。この奨学金で学んだ留学生は18の国や地域の約790人にのぼる。
映画では、留学生が日本語を学…