中学と高校の教科書を発行する大修館書店(東京都文京区)が3~4月、昨年度に自社の英語教科書を採択した5都県の公私立高校14校に、英語の問題集を無料で提供していたことがわかった。同社の鈴木一行社長は今月8日、文部科学省に概要を報告。文科省は「採択へのお礼ととられかねない」として、同社に詳細の調査と報告を求めた。
教科書会社40社でつくる教科書協会は、自主ルールで学校など採択関係者への教材提供を禁じている。鈴木社長は同協会会長。馳浩文科相は10日の閣議後記者会見で「明確なルール違反」と指摘。高校教科書の出版社を対象に、採択に疑念が生じるような行為がないかを調査する方針を示した。
大修館書店や文科省によると、同社は3~4月、英単語や英文法のドリルを東京、神奈川、埼玉、茨城、新潟の各都県の公私立高校14校に無料で配った。少なくとも計約1500冊で約40万円相当という。公立高の場合、各校が希望する教科書を教育委員会が選ぶ形が多く、配布先の高校はいずれも昨年度に、今年度から使う教科書として同社版を採択した。鈴木社長は文科省に「(来年度から内容を改訂する)ドリルの在庫が残っていたので渡してしまった」と説明したという。
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