アダルトビデオ(AV)に出演させ、公衆道徳上、有害な業務に就かせたとして、警視庁が、AVプロダクション「マークスジャパン」(東京都渋谷区)の50代の社長ら3人を労働者派遣法違反(有害業務就労目的派遣)の疑いで逮捕したことが分かった。
保安課によると、逮捕されたのは同社の社長のほか、40代の元社長、30代の社員の男。逮捕容疑は2013年9月ごろ、同社に所属する20代の女性をAV制作会社に派遣し、公衆衛生上、有害であるAV出演業務に就かせたというもの。
女性は09年ごろ、「グラビアモデルの仕事ができる」と説明され、同社に入ったが、AVに出演する契約書に署名させられ、女性が契約の解除を求めたところ、「親に請求書を送る」などと言われ、解除に応じなかった。女性はAVに出演したが、警視庁に昨秋、被害を相談。同庁は今年5月下旬、同社やAVメーカーを家宅捜索し、捜査を進めていた。
国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は今年3月、AV出演をめぐる被害相談が3年ほどの間に72件寄せられたと発表。十分な説明なしにAVに出演する契約を結ばせ、断ろうとすると「違約金」を要求して出演を強要する事例が多いという。また、出演者が著作権などの権利を放棄する内容の契約が大半で、AVを制作するメーカーは自由に二次利用、三次利用ができ、販売が止められない構造になっているという。