本は「読む」だけでなく、「聞く」こともできる。2013年、携帯で本を「聞く」というのは目新しいことだったものの、わずか数年の間に、それは中国の読書の分野において重要な成長ポイントとなっている。中国では国民の「オーディオブック」の利用率が年々上昇しており、本を「聞く」というのが中国人の読書の習慣となりつつある。光明日報が報じた。
作家・路遥の生誕70周年だった2019年、音声コンテンツプラットホーム・喜馬拉雅(シマラヤ)はその長編小説「平凡的世界」のオーディオブック版をリリースし、現時点で再生回数が延べ1億6000万回に達し、喜馬拉雅のベストセラーランキングで3位となっている。
「オーディオブックが中国の国民の読書の分野の新たな成長ポイントとなっている」。中国新聞出版研究院が発表した第17回全国国民読書調査報告によると、2019年、中国の成人の国民の紙媒体図書・電子版書籍の一人当たりの読書量は減少している。うち、紙媒体図書の読書量は平均4.65冊、電子版書籍は平均2.84冊だった。一方、成人の国民と未成年者のオーディオブック利用数は急増しており、2019年、3割以上の国民にオーディオブックを利用する習慣があった。そして、「モバイルオーディオブックアプリ」を選択する国民の割合が高かった。
オーディオブックの統計を詳しく見ると、2019年、成人の利用率は30.3%と、2018年より4.3ポイント上昇した。0‐17歳の未成年者の利用率も34.7%と、2018年と比べて8.5ポイント上昇した。
実際には、オーディオブック利用にはメリットとデメリットがある。
まず、そのメリットは、それを聞きながら他の事もできる点で、忙しい日々を送る現代社会の人々に非常に適している。一方、デメリットは、オーディオブックの特徴である非線形、断片化という点がオーディオブックによる読書の幅広さや奥深さに影響を与えている。
中国伝媒大学編集出版研究センターの趙麗華・准教授は「モバイルインターネットが誕生して発展するにつれて、中国のオーディオブックは、初めの頃の新聞やサイト、ブログプラットホーム、オンラインテレビなどの形式から、モバイルオーディオブックの時代へと移行している」とし、「モバイルオーディオブックは大きく分けて3つの段階を経てきた。まず、2013年前後に、蜻■FM(■は虫へんに延)、喜馬拉雅FMなどのプラットホームがデジタル読書の舞台に登場した。次に2015年から、中国のインターネット上では、知識系の有料コンテンツブームが巻き起こった。そして、2020年、新型コロナウイルス感染拡大が節目となり、世界のオーディオブック市場が、元々あった良好な発展の動向を基礎として、さらなる発展を遂げ、中国のオーディオブック業界は社会的効果、経済的効果の両面で大きな役割を果たしている」と分析している。
喜馬拉雅の統計も趙准教授の分析を裏付けており、2020年1‐3月、そのプラットホームを通してオーディオブックを利用した人の数は前年同期比で63%増、利用時間は約100%増となっている。アルバムのオーディオブック利用を見ると、2019年の一人当たり5.6冊から2020年には10.7冊に増加している。
このようにわずか10年足らずで、オーディオブック利用は、少しずつ受け入れられ、多くの人にとって今では新たな習慣となりつつある。
(編集KN)
「人民網日本語版」2020年9月17日