会見冒頭で謝罪する東電の広瀬直己社長(左)。右は姉川尚史常務=21日午後2時、東京都千代田区、竹花徹朗撮影
東京電力福島第一原発事故で炉心溶融(メルトダウン)の公表が遅れた問題で、広瀬直己社長は21日、当時の社長が炉心溶融という言葉を使わないよう社内に指示していたことについて隠蔽(いんぺい)と認め、謝罪した。東電の第三者検証委員会が指摘した「官邸の指示」については追加調査しないという。その上で、新潟県に「炉心溶融の定義はない」などと誤った回答をしたとして、広瀬社長を減給10%(1カ月)とするなどの処分を発表した。
「官邸の指示」再調査せず 民進、東電の姿勢に反発
東電は、当時の清水正孝社長が指示したことは「社会の皆様の立場に立てば隠蔽と捉えられるのは当然」と発表。広瀬社長は会見で個人の見解を問われ、「隠蔽です」と認めた。その上で、情報発信を社長に直接提言することや、外部からの圧力があっても事実を公表できるよう訓練するといった再発防止策を発表した。
元社長が指示した理由について、東電の第三者委は16日、「元社長が官邸側から要請を受けたと理解していたと推認される」とする報告書を発表し、菅直人元首相らが「指示したことはない」と否定している。
また、広瀬社長はこうした「要請」の経緯について、東電として調査する考えがないことを明らかにした。「圧力に左右されない対策を取ることが重要だ」と判断したという。
炉心溶融の公表遅れをめぐっては、新潟県が2012年から調査を求め、東電は今年2月、「炉心の損傷が5%を超えた場合は炉心溶融とする」との判断基準がマニュアルに明記されていたと公表した。