受動喫煙対策を強化する法案の骨子を発表する厚生労働省の担当者ら=1日、東京・霞が関
厚生労働省は1日、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙防止策を罰則付きに強化する健康増進法改正案の骨子を発表した。焦点の飲食店は、30平方メートル以下のバーなどに限って例外として喫煙を認めるが、レストランや居酒屋などは屋内禁煙(喫煙専用室の設置可)とする。悪質な場合、施設管理者に最大50万円、たばこを吸った本人に同30万円の過料を科す。
2019年9月のラグビーワールドカップ日本大会までに施行が間に合うよう、厚労省は今国会への法案提出を目指している。この日の関係省庁との作業班で厚労省の「基本的な考え方」として示した。自民党との調整が難航する可能性があるが、「国民、国会議員の理解を得たい」としている。施行後5年をめどに制度全般を見直す検討規定を設ける。
厚労省案では、子どもや患者らが利用する小・中・高校や医療施設は「敷地内禁煙」。官公庁や老人福祉施設、大学、体育館は「屋内禁煙」。バスやタクシー、飛行機は「車内禁煙」。いずれも喫煙専用室の設置は認めない。
喫煙専用室の設置を認める「車内・屋内禁煙」は、鉄道、船舶と、飲食店のうち主に食事を出すレストランや居酒屋、ほかに百貨店や劇場、パチンコ店など。
飲食店でも主に酒を出すバーやスナックは床面積30平方メートル以下に限り、「受動喫煙が生じうる」との掲示や換気を条件に喫煙を認める。個人の住宅、ホテルや旅館の客室、老人福祉施設の個室は喫煙できる。喫煙専用室は基準を新たに設けるが、すでに設置済みの場合、一定の基準を満たせば施行後5年間はどの施設でも存続を認める。
違反を繰り返し、都道府県知事らの指示や勧告、命令に従わない場合、喫煙した本人は30万円以下、施設管理者には50万円以下の過料を科す。加熱式たばこは、健康影響の研究成果を踏まえ、法施行までに政省令で規制の対象とするかを決める。