初公判に出廷した中村桜洲被告=6日午前、和歌山地裁、イラスト・岩崎絵里
和歌山県紀の川市で2015年2月、小学5年の森田都史(とし)君(当時11)が殺害された事件で、殺人罪などに問われた無職中村桜洲(おうしゅう)被告(24)の裁判員裁判の初公判が6日、和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)であり、中村被告は起訴内容を認めた。
この日は午前10時に開廷したが、起訴内容について中村被告が「全部違う。僕はやっていない」と発言。今年1月まで計18回にわたって開かれた公判前整理手続きでは争わない予定だったため、いったん休廷し、地裁と地検、弁護人が協議した。約5時間後、罪状認否をやり直したところ、中村被告は起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で「(被害者から)襲われるのではなどという妄想があったとしても、刑事責任を負うことはできる」と主張。弁護側は「妄想性障害あるいは統合失調症という病気だったことが背景にある。全面的に責めることはできない」と訴え、それぞれ量刑で争う姿勢を示した。
起訴状などによると、中村被告は15年2月5日午後4時15分ごろ、同市後田(しれだ)の空き地で、近くに住む森田君の胸を刃体約40センチの大型のナイフで刺すなどし、失血死させたとされる。和歌山地検は同年2月から約4カ月にわたって鑑定留置を行い、同年7月に起訴した。(真田嶺、金子和史、浅沼愛)