万引き事件で有罪判決を受け、執行猶予期間中に再び万引きをしたとして窃盗罪に問われ、高知地裁で実刑判決を受けた高知市の女性(69)の控訴審で、高松高裁(半田靖史裁判長)が「訴訟手続きに法令違反がある」として一審判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻す判決を言い渡していたことがわかった。
女性は万引き事件で執行猶予中の昨年8月、高知市内の青果店で食品(計1160円)を盗んだとして起訴された。
一審で弁護側は、感情や行動を制御できなくなる「前頭側頭型認知症」とする医師の意見書を提出。犯行時、心神喪失か心神耗弱状態だったとして精神鑑定の実施を求めた。ところが高知地裁はこれを却下し、「精神の障害が犯行に与えた影響は、仮にあったとしても限定的なものに過ぎない」などと判断。懲役8カ月の実刑判決を言い渡した。
21日付の控訴審判決では、犯行当日、短時間に万引きを4回繰り返していることから「責任能力に疑問を抱かせる無軌道な行動」と指摘。そのうえで「より十分な資料と精神医学の専門的知見を得て、精神障害の有無とその影響を明らかにする必要があった」とした。