育児ノイローゼからうつ病になった長女。その世話を続け、離婚した次女。ただ一人幸せに暮らしていた三女は、後ろめたい思いを抱えていた。三姉妹が被害者と加害者に分かれた殺人事件を、三女の視点から振り返る。
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今年2月15日、東京地裁で開かれた裁判員裁判の初公判。次女(44)はフリースのジャケットを羽織り、三女(38)は黒いスーツ姿で法廷に現れた。
裁判長「起訴内容に間違いはありませんか」
次女「ありません」
三女「間違いありません」
昨年7月の逮捕直後は殺人を認めなかった2人が、法廷でそろって罪を認めた。
起訴内容は、昨年5月3日、東京都内の実家で長女(当時45)の首を2人で布製のベルトで絞めて殺した、というもの。
判決などから事件をたどる。
3姉妹が両親に育てられた実家は荒川からほど近い住宅街にある。1995年、まず長女が結婚。2003年に次女が嫁ぎ、同じ年、長女が出産した。だが、まもなく長女は育児ノイローゼになり、乳児の娘を連れて実家に戻ってくる。一方、翌年に三女は結婚し家を出た。
長女は05年、うつ病と診断され、次女が実家に戻って長女の娘を養育するようになる。08年にまず次女が離婚。翌年長女も離婚した。その後両親も亡くなり、事件の9カ月ほど前から実家は長女と娘、次女の3人の生活になった。
長女は次女に「死にたい」「子どもと一緒に心中する」などと話し、暴力を振るうこともあった。次女も長女の言動などがもとでうつ病との診断を受けた。