大阪府内の公立小中高校の歯科検診で、2014年に虫歯や歯並びの悪さなどを理由に「要治療」と診断された児童・生徒計4万6445人のうち、6割以上にあたる約2万9千人が歯科を受診しないか受診を確認できない状態だったことが、府歯科保険医協会の調査で明らかになった。同協会は「貧困や家庭の問題が背景にある」と指摘している。
協会では昨年2月に公立小中高1618校を対象に調査票を送り、このうち319校(19・7%)から回答があったという。
今月8日に公表した調査結果によると、治療が必要と診断された小学生の50・4%、中学生の69・0%、高校生の86・9%が、未受診か受診を確認できなかったという。
さらに、虫歯が10本以上あるなどの「口腔(こうくう)崩壊」と呼ばれる状態の児童や生徒の有無を尋ねたところ、小学校の46・4%、中学校の35・2%、高校の53・8%が「いた」と回答。同協会は、調査結果をもとに、口腔崩壊の児童・生徒が府内で2千人以上いると推計している。
各校の養護教諭らが回答した事例では、「ネグレクト(育児放棄)気味の家庭の子で、歯みがきの習慣がない」「生活習慣が整っておらず、4本以外全部虫歯」などの声が寄せられたという。(石原孝)