ストーカー被害者に治療を促す仕組み
ストーカーの加害者に対し、警察は今年度から医療機関での治療やカウンセリングを勧める取り組みを始めている。警察庁が実施状況をまとめたところ、警察が働きかけた加害者のうち受診したのは約25%で、拒否する人も多かった。
同庁は13日、都道府県警の担当者と医師らとの連絡会議を初めて開き、医師側と警察が症例や対応に関し情報を共有。同庁は改めて取り組みの推進を求めた。
ストーカー被害は全国的に深刻な状況が続いており、相手への執着心や支配意識を拭うには治療を通じた対応も必要だとして、今年度は精神科医ら専門家との連携を始めた。
新たな取り組みでは、警察官はストーカー規制法に基づいて警告するなどした加害者の中で必要と判断した人に受診を勧める。本人が同意すれば、地域の医師らを紹介し、治療やカウンセリングを受けてもらう。警察は医師側から治療状況の説明や助言を受け、加害者対応に役立てる。治療費は本人が負担する。
加害者への働きかけは昨年4~12月、33都道府県警で293件あり、108件で加害者が同意。うち実際に受診したのが73件(男性58件、女性15件)だった。73件のうち治療完了は14件、治療中48件。就職などを契機に治療を中断したケースも11件あった。
一方、加害者が治療を拒否したのは179件で全体の60%超。「自分は病気でなく、必要ない」といった理由が多く、経済的な事情を挙げた人もいる。
警察庁の担当者は「まだ実施例…