対談する椎木里佳さん(左)と原田謙介さん=東京都中央区
参議院選挙で初めて一票を投じる人はどのように考えているのか。このシリーズは18歳、19歳を中心としたみなさんとSNSを使い議論します。まず、若者と政治をつなぐ活動をする原田謙介さんと、18歳にして社長歴3年余の大学1年生、椎木里佳さんが対談。ネット中継された対談の間にツイッターで寄せられた意見も紹介します。
Voice1819のページ
アンケート「政治とワタシ」
椎木 「18歳選挙権ってどうなの?」と思ってました。でもいろいろ知るうちに、これは行かないともったいないな、と考えるようになりました。
原田 各種の調査でも、「まだ早い」「よくわからない」と否定的だった当事者が、1年かけて肯定的な受け止めになりました。注目されていることが大きいですね。
椎木 「責任を負えない」と言ってた人たちも、選挙が始まって「行かなきゃ」という雰囲気になってきてます。大学近くの駅前の演説で「18歳の人、いますか?」と言われ、「え、自分?」みたいな。結構、振り返っている。候補者の方も、わかりやすく話そうとしてる。
原田 お互いに向き合い始めることで、若者と政治との関係が変わってきています。うれしい変化です。ところで、誰に投票していいかわからないという声をよく聞きます。
椎木 その気持ち、よくわかります。みんな似たような良いことを言っていて、選びにくい。
原田 将来の見通しがつきにくい状況なのに、選挙戦では「バラ色の社会」を語る。これに、ぼくはうさん臭さを感じています。
椎木 ある政治家の人は、目に人格が表れるから、顔で選んでいいと言っていました。
原田 え? ぼくはそれでいいとはいえないな。自分がわかる範囲、自分の関心のなかでちょっとだけ悩んで投票に行けばいい。大人もすべてわかっているわけではないし。
■身近なことから広げて
原田 悩ましいと思うのは、学校や家庭で政治の話や選挙の話をしない人が多いことです。
椎木 自分はするけど、一般的にはそうですよね。興味がないわけじゃないと思います。でも、親や先生が話をしたがらない。ニュースを見て「どう思う?」と聞かずに、「また何かやっているわねで『終了』」みたいな。はじめは大人から振ってもらわないと、議論もできない。
原田 椎木さんが政治に興味を持ったきっかけは?
椎木 中3で起業して社会人の一員となり、ビジネスと政治は切り離せないのだとわかりました。以来、自分ごととしてニュースも見るようになりました。
原田 ぼくの周りだと、子育てを始めてから政治に興味を持ち始めた人が多いですね。政治を知ろうというよりは、自分のやっていることとのつながりを感じることで、政治への関心が広がるみたいです。
椎木 国の議論とかは大きすぎて、自分ごとには思えません。
原田 身近なところから政治を見ていけばいい。駅前の再開発をどう思うかとか、バンドの練習場が公共施設にあればいいのにとか。
椎木 それだとたくさんありますよね。学校、駅、道路、バイト……。
■政治イコール日本かな
原田 ずばり、政治とは何だと思いますか?
椎木 えーっ。政治イコールですよね? 日本かな。理由は、日本全体にかかわっているから。
原田 かっこいいですね。ぼくは「社会を良くする動きで、主役は一人ひとり」と定義しています。
椎木 「主役は一人ひとり」はわかるけれど、政治は自分から遠くて変えられない、と思っている人は多い。「人のもの」といった感じ。
原田 それは「自分の一票には意味がない」と思うことと関係していると思いますか?
椎木 関係していると思います。一票は重いと言われても、実感が得にくいですから。
原田 一票を投じることは自分で政治家を決めることだし、投票結果は世の中が政治をどう見ているかを表す。投票にはそうした価値もあるので、社会を変えるという点では、「一票で変わるかもしれない」ぐらいでいいと思っています。
椎木 政治家の人は私たちと一緒にやっていくはずですよね。なのにどうして「任せろ」なんですかね。「いっしょに国をつくりましょう感」がもっとほしいです。私たちがしっかりしないといけないと思っていて。未来を背負っているという自覚をもって、人任せにしないようにしないと。だって、「何とかなるでしょ~」では危ないですから。
原田 今度の参議院選挙では18歳、19歳の投票率が注目されています。速報値も出ると聞いています。
椎木 はじめのうちに投票に行っておかないと、年を重ねてからでは行きにくくなると思います。高校生は制服姿で、大群で投票所に押し寄せてほしいな。
原田 「お、高校生、来た!」
椎木 親と行くのもいいですね。
原田 被選挙権や学校教育、政治との距離。18歳選挙権を機に、変わっていくことを期待しています。
椎木 18、19歳の有権者が増えるだけでは、何も変わらないという冷めた見方もあります。でも投票率がとても高かったら周りは「やばい」と思うはず。政治家の人たちを驚かせたいです。
原田 3年前の参院選で20代の投票率は30%台で、世代別では最低でした。もしも18歳、19歳がこれを上回ったら……。1人で乾杯します。
椎木 70年ぶりの公職選挙法の改正で、歴史的なチャンス。私は「選挙に行こうぜ派」です。
◇
原田謙介さん 86年生まれ。NPO法人「YouthCreate」代表。若者の政治参加を広げる活動をしている。
椎木里佳さん 97年生まれ。中3でマーケティング会社を起業。近著に「大人たちには任せておけない!政治のこと」。
■みなさんのつぶやき
▼ 投票行かなきゃもったいない。
▼ 初めての選挙、ワクワクドキドキします。
▼ でも選挙行かない率、高いですね。
▼ 被選挙権(年齢)も下がるといいですね。
▼ 椎木さんは何で選挙に関心もったんですか?
▼ 政治家を知るのも大事だけど、政治家が若者を知るのも大事。
▼ 関心の低い若い人を増やして、余計投票率が低くなるのでは?
▼ 投票率を上げるにはどうしたらいいと思いますか?
▼ 若者向けアピールのうまい政治家とそうでない人に差が出そう。
▼ お友達の間で政治の話、します?
▼ しない。
▼ 少し前に20歳になった私は、盛り上がりがうらやましい気もします。
▼ 同じ高3で投票できる子とできない子がいるのはおかしくないですか。
▼ 投票したい人がいない場合はどうすればいいですか?
▼ おっさんおばさん、若者なめんなよ!
▼ 自分の問題と政治が結びつかないのかも。
▼ 出ている政治家、ダサくないですか?選挙カーうざくないですか?
▼ 「国民の代表」と学校で習うからか、平均的な人よりも学級委員のように特別にきちんとした人を選びたくなるのかな。
▼ 僕も18歳になったんでいろいろ考えてます。
▼ 政治の話するとドン引きされません?
▼ 「政治が大切な理由」をもっといろんな人に知らせる機会が必要だと思う。
▼ ネットで簡単に投票できるようになればいいのに。
▼ まあでも今の10代はそこらへんの20代、30代に比べたら選挙の知識はたくさんあると思うから、あとは積極性かな。
■@asahi1819 フォローしてください
「10代の人たちと話しあう場を作りたい」と考えたのがこの企画「Voice1819」です。この参院選から一票を投じられるようになった18歳、19歳を中心としたフォーラムをツイッター上につくろうとしています。みなさんもぜひ@asahi1819をフォローして、議論に参加してください。
今回の対談は参院選公示日の22日夜にツイッターを利用して配信しました。多くの意見、質問が配信中に寄せられ、それも踏まえて対談は進みました。これまでに2万人以上が視聴しました。
ほかにも独自のコミュニティーをもつ若い皆さんの協力を得て自前のネット配信に挑戦、「選挙とは」「政治とは」を自由に語ってもらいます。
http://t.asahi.com/1819enq1
でアンケート「政治とワタシ」を実施中です。また、フォトコンテスト「これも政治!?」を開催しています。身近な大切なもの、見慣れた風景を切り取った写真を通して、政治を前向きに考えようという企画です。投稿をお待ちしています。@asahi1819をフォローし、メッセージに「#これも政治」と添えて写真とともにツイートしてください。この企画を考えたのは、一人の高校3年生。次回以降に登場します。7月3日はシリーズ2回目、「#これも政治」です。
私たちの活動は次のウェブページでどうぞ。