新幹線のインターネット予約システムの保守業務を巡る三菱電機(東京都千代田区)の元社員による詐欺事件で、警視庁は28日、同様の架空発注に関わっていたとして、同社のIT関連事業を担う子会社の元社長(70)と、三菱電機の別の元社員の男2人を詐欺容疑で逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、元社長らは2009年、三菱電機がJR東海(名古屋市)から請け負った新幹線のチケット予約システムの保守業務を、横浜市のコンピューター関連会社に外注したように装い、業務委託費として約4千万円を支払わせてだまし取った疑いがある。詐取金は架空の委託先から元社長らに還流させていたという。
元社長は三菱電機の部長級幹部を務めた後、03年春にIT関連事業の子会社の社長、08年春に相談役となった。
警視庁は今月8日、別の架空発注で約2千万円を詐取したとして、元社員の渡辺勇治容疑者(58)を逮捕。元社長は渡辺容疑者と同様の手口を使っていたといい、三菱電機によると、一連の架空発注による被害の総額は約4億6千万円に上るという。