今後の会社の方針について話す東芝の綱川智社長=23日、東京都港区、竹花徹朗撮影
不正会計問題からの再生をめざす東芝の新社長についた綱川智氏が23日、報道各社のインタビューに応じた。4月に富士通やVAIO(バイオ)(ソニーから独立)との統合交渉が破談となったパソコン事業について、「統合・再編は考えていない」と述べ、当面は自前で運営する方針を示した。
「自由闊達な風土つくる」 東芝・綱川新社長の一問一答
パソコンは赤字続きだが、販売台数を大幅に縮小することで、「(損益を)ゼロ前後にできる体制ができた」とした。中国の自社工場は「効率をあげて生産を続ける」と売却などはしない考えだ。「自力再生でプラスにするということをしっかりやりきる」と話し、まずは黒字化した上で、将来的な再編は「何か(打診が)あったら考えていく」と話した。
不正会計問題によって、東芝株は東京証券取引所などから「特設注意市場銘柄」の指定を受けているが、「今年度内に確実に脱出したい」と述べた。再発防止策を9月に東証などに提出して審査を受けるという。「上司の意向に逆らえない」と指摘された社内風土は、「非常に自由闊達(かったつ)に話ができている」と改善を強調した。
東芝は原発などの「重電部門」と「半導体のNAND型フラッシュメモリー」「社会インフラ」を事業の3本柱に据えている。原発とNAND型が世界有数のシェアを持っており、「シェアが強いところをさらに強くするという方向が全体最適になる」との考えを示した。
ただ、経営再建の道のりは「まだ2合目」と評価した。特に財務の健全性を示す自己資本比率は2016年3月末に6・1%と不十分だ。3年後に10%台にする考えで、「自分で稼いだ営業利益で着実にできる」と、自信もみせた。
国内の原発事業の将来が不安定なことから、原発メーカーの日立製作所、三菱重工業との再編などを検討する動きがあるが、「燃料に関しては協力できることはあり得るかもしれないが、何が動いているか分かっていない」と述べるにとどめた。(平林大輔)