新幹線の予約システムの保守業務を巡る三菱電機(東京都千代田区)の元社員による詐欺事件で、警視庁は28日、同様の架空発注に関わっていたとして、同社子会社の三菱電機インフォメーションテクノロジー(MDIT)元社長の野村斉容疑者(70)=東京都世田谷区=ら2人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。
ほかに逮捕されたのは、三菱電機の元社員金山茂敏容疑者(66)=富山県立山町。野村容疑者は容疑を否認し、金山容疑者は認めているという。
捜査2課によると、2人は2009年5月~10年5月、三菱電機で発注業務の担当経験がある元社員の渡辺勇治容疑者(58)=詐欺容疑で逮捕=と共謀し、三菱電機がJR東海(名古屋市)から請け負った新幹線のチケット予約システムの保守業務を、横浜市のコンピューター関連会社に外注したように装い、三菱電機に業務委託費として約4200万円を支払わせ、だまし取った疑いがある。
詐取金は偽装外注先の会社代表の口座を通じ、野村容疑者が約3割、金山容疑者は約1割を受け取って株式投資や借金返済などに使っていたという。会社代表と2容疑者は仕事を通じて知り合い、代表から仕事がないか相談された2人が、渡辺容疑者とともに架空発注を持ちかけた、と同課はみている。
野村容疑者は三菱電機で部長職を歴任した後、03年春からMDITの社長に、08年春から相談役になっていた。三菱電機によると、3容疑者らによる架空発注の被害の総額は約4億6千万円に上るという。
MDITは14年10月に三菱電機の別の子会社と合併・統合し、三菱電機インフォメーションネットワーク(MIND)となった。