フィリピン大統領に就任するドゥテルテ氏
フィリピンの大統領選挙で当選したロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が30日正午(日本時間午後1時)、首都マニラで宣誓を行い、大統領に就任した。選挙戦で「麻薬犯罪者は殺す」などの過激発言を繰り返して圧勝したが、外交や国政の手腕は未知。南シナ海の領有権問題を巡る仲裁判決が7月12日に出ることが決まり、対応が注目される。
比の「トランプ氏」、外交は?ドゥテルテ氏が大統領に
フィリピンの大統領就任式は伝統的に、マニラ中心部の公園などで数千人の聴衆を集めて実施されてきた。だが「庶民派」が旗印のドゥテルテ氏は簡素化を徹底。会場は大統領府の講堂とし、参加者は600人に絞った。祝賀会ではワインではなく、ココナツジュースが振る舞われる。
南部ダバオの市長を22年務めた行政経験と、前例にとらわれない強いリーダーシップで、汚職撲滅や治安対策では期待が高い。だが経済については「よくわからない」と自ら認め、外交経験もない。懸案の南シナ海問題では「対応が読めない」との不安が、日本を含む周辺国の政府関係者にある。前政権は米国との同盟を強化し、中国と敵対してきたが、ドゥテルテ氏は「中国と対話する」と路線修正も示唆している。7月12日には、フィリピンが提起した裁判の判決が常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)で示される。判決を「受け入れない」としている中国にどう向き合うのか、注目される。(マニラ=佐々木学)