経済関係のフォーラムに出席し、大勢の記者に囲まれるドゥテルテ氏=マニラ、佐々木学撮影
9日に投開票されるフィリピン大統領選挙は7日、運動最終日を迎え、各候補が最後の訴えをした。世論調査では、米不動産王トランプ氏張りの過激発言で知られる南部ダバオ市長ロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)がトップ。失言で批判されても勢いは衰えず、現地の日系企業関係者からは「いったいどんな国になるのか」と不安の声も漏れる。
民間調査機関SWSが6日に公表した世論調査では、ドゥテルテ氏は33%で1位。女性上院議員のグレース・ポー氏(47)が22%、アキノ大統領が後継指名した前内務自治相マヌエル・ロハス氏(58)が20%、ビナイ副大統領(73)が13%で追っている。
ドゥテルテ氏は「犯罪者は殺してマニラ湾の魚のえさにする」「南シナ海の中国の人工島にフィリピンの旗を立てる」など型破りな発言を続けてきた。これまでの政治家にない魅力を感じる有権者も多いとみられ、陣営幹部は「国民は過去の欠点より未来の指導力に期待している」と自信を深める。選挙戦終盤、女性を侮蔑する発言や多額の隠し資産疑惑で批判を浴びたが、人気は落ちなかった。
だが、日系企業関係者は「従来の政治家とタイプが違いすぎる。どうアプローチしたらいいのか」「米大統領選挙の共和党候補者選びと同じ構図。人気投票では困るのだが」と心配する。アキノ現政権で経済は6%前後で成長し、順調だった。財界関係者の多くは、後継候補のロハス氏を支持している。