10日投開票の参院選で社民党、生活の党と山本太郎となかまたち、日本のこころを大切にする党、新党改革の小政党4党が、支持固めに追い込みをかけている。政党や自らの議席の存続がかかるだけに、独自の政策を前面に出して、小政党の存在意義を示そうとするなど、アピールに必死だ。
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■社民
「安倍(晋三)首相の狙いは憲法9条の改悪だ。社民党が小さくなって日本の政治が悪くなったと、吉田頑張れと激励を頂いている」
7日、社民の吉田忠智党首は大分県での街頭演説で訴えた。今回、自身と福島瑞穂副党首が比例区で改選。3年前の比例区は1議席にとどまっただけに危機感は強い。支持拡大に向け選挙区4人、比例区7人の計11人を立てた。吉田氏は、党首として東京で公示日第一声を行った以降は地元大分を含めてほぼ九州張り付きで、党の理念でもある「護憲」「平和」を正面から訴え、支援労組などの支持固めに専念した。
一方、福島氏は、全国各地で選挙カーではなく電車を乗り継ぎ演説を繰り返す「ずんずん街宣」で、無党派層への浸透をはかる。
■生活
生活は、政党と認められる要件を満たせるかどうかがかかっている。小沢一郎代表は7日、埼玉県での演説で「参院選では政権は変わらないと思っている人がいるが違う。野党が躍進すれば、安倍政権の退陣は実現できる」と訴えた。所属議員5人のうち改選の2人が立候補せず、現時点の所属議員は3人。政党要件を満たすには最低2人の当選が絶対条件だ。
岩手と新潟の両選挙区に生活に党籍のある無所属の野党統一候補を擁立。小沢氏は公示日を岩手で迎え、両県での旧知の支援者回りや、全国遊説も増やし、最終日は新潟でしめる。
■こころ
日本のこころを大切にする党は、所属議員3人がいずれも今回非改選の参院議員。前身の次世代の党が2014年衆院選比例区で2%の票を得たため、政党要件を失うことはない。ただ、昨年末に改名した党名の浸透が課題だ。自主憲法の制定など保守色の強い主張を掲げるが、中山恭子代表は7日、愛媛県で記者団に「改憲勢力のために活動しているという思いは全くない」と強調。むしろ、「我々だけが拉致問題を必死に訴えている」と話し、街頭演説でも同県の特定失踪者家族と並んだ。
■改革
改革は、荒井広幸代表自らが改選。舛添要一前東京都知事が代表だった6年前に得た1議席の維持を目指す。安倍首相と関係が近い一方で、「何でも反対の野党でも、威張る与党でもない」と、安全保障法制で国会の事前承認を盛り込ませた「提案型政党」の独自性をアピールする。特に「脱原発」では、「なぜ与党も野党も『原発なくせ』とこの選挙戦で言わないのか」と訴え続ける。
このほか、いずれも政党要件を満たしていないが、憲法学者の小林節氏が代表を務める「国民怒りの声」や、憲法改正などを掲げる幸福実現党、政策を一切掲げずに有権者の意向を国政に反映すると訴える「支持政党なし」なども、候補者を擁立し、支持を訴えている。