米労働省が8日発表した6月の雇用統計で、景気の動向を敏感に反映するとされる「非農業部門の就業者数(季節調整済み)」は前月より28万7千人増え、昨年10月以来8カ月ぶりの高い伸びとなった。専門家の予想(17万人前後の増加)を大幅に上回り、急減速した5月から大きく回復した。
6月の失業率は4・9%で、前月(4・7%)より悪化した。市場予想は4・8%だった。5月の就業者数の伸びは、3万8千人から1万1千人に下方修正した。直近3カ月の平均は14万7千人で、20万人近く増えた年初からは伸びが減速している。
就業者数は、医療、小売り、娯楽産業などで増えた。5月に米通信大手のストライキの影響を受けた情報分野の反動も就業者数を押し上げた。物価の先行きに影響する賃金は、前年同月より2・6%増え、上昇傾向が続いている。「雇用の伸びは緩やかになっているが、米国景気が特段悪化しているわけではないことが確認された」(エコノミスト)との声が聞かれた。
雇用の回復が確認されたものの、英国の欧州連合(EU)からの離脱決定で先行きの不透明感が強まっており、米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を決める今月26、27日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げを見送る公算が大きい。(ワシントン=五十嵐大介)