前橋市で2014年、高齢者3人が相次いで殺傷された事件で、強盗殺人などの罪に問われた無職土屋和也被告(27)の裁判員裁判が11日、前橋地裁(鈴木秀行裁判長)であり、検察側は死刑を求刑した。弁護側は最終弁論で死刑回避を求める方針。
前橋の強盗殺人事件、罪状認否は黙ったまま留保 初公判
起訴状によると、土屋被告は14年11月、前橋市日吉町の小島由枝さん(当時93)宅に侵入し、小島さんをバールで殴ったり、包丁で突き刺したりして殺害し、現金5千円などを奪ったとされる。約1カ月後には、小島さん宅から約700メートル離れた川浦種吉さん(当時81)宅に、金品を盗む目的で侵入し、リンゴ2個を盗み、川浦さんを包丁で数回刺して殺害し、80代の妻に重傷を負わせたとされる。
検察側は論告で、被害者3人と土屋被告に面識のないことなどから「通り魔的で無差別的な犯行」と指摘。犯行の計画性や被害者の数など、死刑判断の基準となる「永山基準」を考慮した上で、「命をもって、罪を償わせることがやむを得ない」と主張した。
弁護側は、殺意の強さや犯行の計画性について争っており、土屋被告には、衝動を抑える力が乏しいなどの特徴のあるパーソナリティー障害があるとして、情状酌量を訴える方針。