理容師になるための職業訓練を受ける受刑者=5月27日、奈良少年刑務所
刑務所や少年院を出ても、働く場が得られずに再び罪を犯すケースが後を絶たない。出所後、無職の再犯率は有職者の約4倍にも上る。就労支援こそ社会復帰や再犯防止につながるため、全国の矯正施設が受け皿となる雇用主らを招き、職業訓練に取り組む姿を積極的に公開し始めている。
カツラをくしでとかしたり、はさみで切ったり……。仕事着姿の丸刈りの受刑者6人が黙々と手を動かす。はさみの音だけが広々とした空間に響く。いすや鏡が並ぶ部屋は理容室そのものだが、制服姿の刑務官が受刑者の様子に厳しく目を配っていた。
5月下旬の奈良少年刑務所(奈良市)。約400人の収容者のうち、4分の1が建築科や介護福祉科など13種類の職業訓練に取り組んでいる。理容科の場合、2年間の訓練を終えれば、理容師の免許試験に挑むことができ、昨年度は5人全員が合格した。
敷地内には実務実習を目的とした「若草理容室」が開設されている。調髪1030円、丸刈り630円、顔そり520円。60年以上運営してきたといい、1日に近隣住民ら10人ほどが来店している。
若草理容室で腕を磨く男性受刑者(24)は「同年代の方々はみんな働いている。常識や言葉遣いなどでだいぶ後れをとっていると思うんです」と話す。社会復帰するために、外部とのつながりがもてる接客は貴重な機会になっている。
名前や身の上は明かせないが、…