愛知県豊川市の駐車場から2002年に男児(当時1歳10カ月)を連れ去り、海に投げ落として水死させたとして殺人と未成年者略取の罪に問われ、懲役17年の判決が確定した田辺(旧姓・河瀬)雅樹受刑者(49)=大分刑務所に収監=の弁護団が、7月中にも名古屋高裁に再審請求することが30日、分かった。日本弁護士連合会の支援決定を受けて、方針を固めた。
弁護団は、捜査段階の自白調書の内容を否定する独自の新証拠などを提出するという。
裁判は、自白の信用性や間接証拠の評価を巡って争われた。06年の一審・名古屋地裁は「自供以外に直接証拠がなく、自白の信用性に疑念がある」として無罪判決を言い渡したが、二審の名古屋高裁は「自白の信用性は十分で補強証拠もある」として逆転有罪を導いた。その後、最高裁で判決が確定した。
確定判決によると、田辺受刑者は02年7月28日未明、豊川市内のゲームセンター駐車場で、駐車中の別の乗用車内にいた男児を抱きかかえて自分の車に移し、海岸まで連れ去り、海中に投げ落として水死させた。田辺受刑者は捜査段階で「車内で寝ようとしたが、男児の泣き声で眠れなくなり腹が立った」と犯行を自供したが、公判で「捜査員に自白を強要された」として無罪を訴えていた。