マイナンバーカードを使って申し込みをする避難者役の市職員(左)=26日午前、新潟県三条市
新潟県三条市が26日、マイナンバーカード(個人番号カード)を使った水害避難訓練をした。カードのICチップの空き領域に個人識別番号を入れ、避難所への入退所などを管理する市のシステムで住民情報を呼び出せるようにした。今回の参院選から投票所での受け付けにも使う。総務省住民制度課によると、避難所や投票所での利用は珍しいという。
訓練では、避難者役の市職員がカードを読み取り機にかざすと、パソコンに職員や家族の情報が表示された。受付担当者は健康状態などを尋ね、1分弱で一家3人が避難所に入ったことが記録された。「簡単でした」と担当者は言った。
これまでは避難者に住所や氏名などを書いてもらい、市情報管理課の職員が手作業でデータベースに記録していた。住民が一気に避難所に来ると受け付けに時間がかかったり、職員がデータ入力で徹夜したりすることもあったという。
カードを使った市独自サービスは、カードの交付時に了解が得られた住民のみに提供する。マイナンバー自体は使わない。
越後平野にあり、梅雨時期にたびたび河川が氾濫(はんらん)する同市では、2004年と11年の7月に豪雨で計10人が死亡し、のべ1万5163棟が被害を受けた。人口約10万人のうち、交付したカードは4286枚(今年5月末現在)にとどまるが、今後、健康保険証との一体化が見込まれるため、普及すると踏んだという。山沢浩幸・情報管理課長は「避難者の1割でも持っていてくれたら、どれだけ助かるか」と言う。(田中恭太)