激励会の日、ユニホーム姿で一堂に会した関西学院の部員たち=2日、兵庫県西宮市
兵庫大会で16日に初戦を迎える関西学院(兵庫県西宮市)は、部員数132人の大所帯だ。それでも「選手全員が公平に試合に出る」が部の基本方針。年間約250試合をこなし、チームの一体感を育みながら、7年ぶりの夏の甲子園をめざす。
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「うまい選手なんていないうちが勝つためのキーワードは全員野球です」と広岡正信監督(62)。部のスケジュール表は試合予定でびっしり。部員が四つの会場に分かれ、同時に試合をする日もある。
部内にA、B、C……という複数のチームがあるが、実力別ではない。主に部員の住んでいる地域でチームを分け、主力選手は一つに固めない。夏の大会メンバーを意識したチームで試合をするのは5月中旬からだ。実力のある30人ほどを集め、さらに練習試合で結果を出した選手を20人に絞り込む。
兵庫県丹波市から通う芦田魁(かい)君(2年)は、近くの同県篠山市などでの練習試合に参加することが多い。「近くだから両親以外にも、中学時代のチームのコーチまで応援に来てくれる。周囲の支えを実感します」
母のゆかりさん(43)は「代打でも、息子が必ず試合に出させてもらえるのでありがたい。応援に行く機会が増えるから、他の選手たちのこともすぐに覚える。チームへの愛着も深まります」。
全体練習は平日に1日平均3時間ほど。「1点、1球の重みを実感できる試合の経験を多く積むことで力をつける」と広岡監督。
豊富な出場機会は、控え選手の士気を高めている。柿本正大(まさひろ)君(3年)は今まで公式戦に出たことはないが、「レギュラーとの実力差は試合で間近で見ているからわかるし、腐ることはない」と言う。
広岡監督が行けない試合は、野球部OBの関学大生が指揮を執る。約20人いる学生コーチの一人、大垣智毅(ともき)さん(21)は「3年間監督の下でやってきたから戦術はわかっている。公式戦で驚かないよう、監督のスタイルを意識しています」と言う。
「僕たちは人数の多さを強みに変えています」と角谷(かくたに)晃志(こうし)主将(3年)。「たくさん試合をするから、いろんなチームの情報を集められる。ミーティングでみんなから多くの意見が出てチームが活性化する」と胸を張る。ベンチ、スタンドが一体になった戦いが、まもなく始まる。(吉沢英将)