ロシアの国家ぐるみのドーピングが明らかになった問題で、ロシアへの処分を協議した国際オリンピック委員会(IOC)の緊急理事会は、結論を先送りした。リオデジャネイロ五輪からロシア選手団を締め出すべきだという圧力が米国などから高まる中で、バッハIOC会長は難しい立場に立たされている。19日の理事会後に出た声明を読むと、個人参加への道筋を残しておこうという狙いが見える。
国として責任を取らせるか、個人の権利を尊重するか。「そのバランスが重要」とバッハ会長は繰り返し、声明には法的選択肢を探ると明記した。ロシアを締め出すべきだと勧告した世界反ドーピング機関(WADA)の強硬路線とは違う。ドーピング問題に「寛容度ゼロで臨む」と言いながら、大国ロシアとまともに衝突するのは避けたいという思惑がのぞく。
声明の中にはこんな文言がある。「ロシア各選手の参加資格は、個々のドーピング検査記録に基づいて当該競技の国際競技団体が決める」。個人参加を前提にしたような項目だ。
夏季五輪競技団体連合(ASO…