行政の性的少数者(LGBT)への配慮について、大阪市は「新しい人権課題」として、先進的な取り組み例を全部署に拡大する。市内では淀川区が独自に支援事業を進めているが、市役所全体での取り組みは一部にとどまっている。市は21日に各部署の人権担当者に取り組み例の報告を呼びかけ、今年度中に状況をまとめ、他部署に広げる方針。
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淀川区は民間出身の榊正文区長の主導で2013年に「LGBT支援宣言」を発表。電話相談を受け付けたり、会議室を借りて当事者が安心して集まり、話し合える場を設けたりするほか、性の多様性を象徴する虹色のマークを職員の名札や区役所のトイレにつけている。阿倍野区、都島区と一緒に、LGBTへの理解を深めてもらう教職員向けのハンドブックもつくり、全国から視察が相次いでいる。
市としても昨年、淀川区の取り組みに協力するNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀代表(41)を招き、職員研修を実施。5年おきの「人権問題に関する市民意識調査」では昨年、性別の回答欄に初めて「その他、回答したくない」を設けたほか、印鑑登録申請書から性別欄を削除している。
だが、市人権企画課によると「部署ごとにLGBTへの認識に差があり、全庁での取り組みはまだまだ進んでいない」のが実情。同課は「新しい人権課題であり、まず職員の理解を進め、先進事例を各部署に広めていきたい」と話している。(花房吾早子)