慶応大学病院(東京都新宿区)で心臓手術を受けた女児とその両親が21日、医師らの過失で脳に重い障害を負ったとして、病院側を相手に約2億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。また、高度な医療を提供する「特定機能病院」の承認を取り消すよう厚生労働省に求めた。
訴えたのは群馬県太田市の高橋心音(ここね)ちゃん(5)と父の歩(あゆみ)さん(43)、母の亜希子さん(39)。
訴状によると、心音ちゃんは生まれつき心臓の壁に穴が開いている病気で、生後3カ月だった2010年12月、慶応大病院で穴をふさぐ手術を受け、低酸素脳症になった。手術の際、人工心肺装置と血管をつなぐ管状の器具の入れ方が適切でなく、脳への血流が阻害されたのが原因と主張。さらに、医師らは脳内の酸素量を測るモニターを使っておらず、異変に気づかなかったなどとしている。
両親は手術後、病院側から「脳障害の原因は不明」と言われたという。
心音ちゃんは現在もほとんど寝たきりの状態で、話をすることや口から食べることもできないという。
両親らは提訴後、都内で会見をした。歩さんは「病院側の説明は二転三転し、おかしいことばかりだ」。亜希子さんは「娘は手術後、別人になった。病院は真実を明らかにしてほしい」と語った。
慶応大病院は「現時点でお答えできることはない」としている。(黒田壮吉)