慶応大と米ワシントン大は11日、動物実験で老化を抑える可能性が示された物質「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)」の安全性を確かめる臨床研究を始めたと発表した。病気の予防や健康長寿に役立つ栄養食品として効果を調べていくという。
NMNは、体内のエネルギー代謝に欠かせない「ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド(NAD)」に変化する。マウスの実験では長寿にかかわるサーチュインと呼ばれる遺伝子を活性化させることや糖尿病の治療効果などが示されている。NADは人の体内で作られているが、加齢に伴い様々な臓器で減少するとされる。
まずは40~60歳の健康な男性10人にNMNを摂取してもらい、安全性や吸収のされ方を調べる。慶応大の伊藤裕教授(内科学)は「安全性が確認されたら、加齢とともに少しずつ低下する臓器の働きを上げる効果があるのか、科学的な検証をしていきたい」と話している。(瀬川茂子)