四半世紀にわたり私学が夏の甲子園の切符をつかみ続けている大阪大会。30日の準決勝に大阪市立の桜宮が登場した。公立としては昨年の大冠に続き、2年連続の4強。桜宮は、春の近畿大会を制した強豪私学、履正社との試合に臨んだ。
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準決勝前日の29日。大阪市都島区の桜宮のグラウンドに選手の声が響いた。浅い外野フライが上がっても「履正社は(本塁を狙って)来るで」と厳しい声が飛んだ。新チームになって最初の練習試合で大敗したのが履正社。それ以来の再戦だ。北風和樹監督(55)は「借りを返すチャンスをもらえたので、食らいついていきたい」と話す。
桜宮には普通科のほか人間スポーツ科学科がある。部活動は分け隔てなく、部員は約130人。3年生は約60人おり、大半がベンチに入れない。松井満沙樹(みさき)主将(3年)は「ずっと全員で切磋琢磨(せっさたくま)してきた。その思いに応えたい」と言う。
初優勝をめざす桜宮は1983、88年に決勝へ進んだが、それぞれPL学園、近大付に敗退。2011~15年に16強以上に4回進み、私学に3回敗れた。
大阪では1970年代以降、PL学園、近年では大阪桐蔭や履正社など、いつの時代も私立の有力校がひしめいてきた。公立校としては82年に春日丘が旋風を起こして優勝。23年ぶりの公立校の大阪代表だった。
90年には、近鉄などで活躍した中村紀洋さん(43)擁する渋谷も出場。それ以降は私学に押され、92年に春日丘、95年に市岡、98年に桜塚(北大阪大会)が準優勝したのが最高だ。昨夏は4強の大冠のほか汎愛と堺東も8強に。今夏も桜宮のほか交野と吹田も8強に残り、2年連続で公立3校が8強に名を連ねた。
試合前、松井主将は「相手が履正社ということで臆することなく全力プレーで勝ちたい」と話していた。(荻原千明)