お釣り計算で授業を受けたことにするなど不適切な教育が発覚した株式会社立ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)について、内閣府と文部科学省は2日、同校を監督する伊賀市に対し、構造改革特区法に基づき改善を促す「措置要求」を初めて出した。同校の改善計画が十分に進んでいないことを問題視し、対応次第では特区認定の取り消しもあり得るとした。
馳浩文科相は同日、岡本栄・伊賀市長を文科省に呼んで措置要求の文書を交付した。「公教育への信頼を確保するために折に触れて相談していただきたい。全面的に対応したい」と話した。
文書では、通信制の生徒が一定時間だけ登校して学ぶ「面接指導」を適切に行える教員数を確保することや、各地にある提携先の民間施設に教育を丸投げしないよう契約を見直すことを求めた。対応状況の報告期限は9月末としている。
ウィッツは2005年、構造改革特区法による規制緩和で、伊賀市の特区申請により株式会社立として開校。昨年12月に国の就学支援金を不正受給した疑いで東京地検特捜部の強制捜査を受け、今年3月には大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に行った際のお釣り計算を「数学」、バス内での映画鑑賞を「英語」の授業などとしていたことが発覚した。
卒業認定のためにはこうした授業のやり直しが必要で、同校は卒業生も含む計約千人を対象に9月末までに補習する計画を伊賀市に提出。だが、現時点で受けたのは半数ほどにとどまり、6月末までとされていた必要な教員数の確保も終わっていない。