リオ五輪前の最終確認として実業団・学生対抗大会に出場した山県亮太=7月23日、神奈川県平塚市、諫山卓弥撮影
被爆地・広島にとって、リオデジャネイロ五輪の開会式が始まる6日午前8時(現地時間5日午後8時)は、71年前に原爆が投下された朝だ。陸上男子100メートルで日本人初の9秒台が期待される山県亮太(24)は広島市出身。祖父や父、故郷への思いを胸に、特別な日に始まる大会に挑む。
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山県の祖父、隆芳さん(81)の自宅は爆心地の近く、いまは広島平和記念公園になっている旧材木町にあった。原爆投下当時、隆芳さんは宮島に疎開中。数日後、町に戻ると一面、焼け野原で家は跡形もなかった。父親ときょうだいを失った。
隆芳さんの長男で、山県の父浩一さん(56)は隆芳さんから原爆の話を詳しく聞いたことがない。ただ、1度だけ、原爆で亡くなった家族の話を聞いた。被爆前の町のにぎわいを写した写真が地元紙に載った約10年前。隆芳さんにそっくりの男性を写真の中に見つけた。
「おやじに似とるな」と言うと…