関東一の森川瑶平=10日午前、阪神甲子園球場、内田光撮影
身長158センチ、体重59キロ。チームで1番、出場49校の中で3番目に小さい。関東一(東東京)の二塁手、森川瑶平君(3年)が10日、広島新庄(広島)戦で躍動した。だが、チームは延長戦の末、1―2で敗れた。
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1年生の頃のあだ名は「ちび筋」。力をつけるため、ウェートトレーニングに取り組んだ。身長を伸ばそうと毎日、懸垂器具にぶらさがり、カルシウムのサプリメントを飲んだ。
それでもパワーが足りず、長打が出ない。引っ張らず、右方向に打つことを意識。一緒に練習していた先輩のオコエ瑠偉選手(楽天)から、内角寄りの球の打ち方を教わった。
「野球は身長じゃないからな。がんばれ」。昨夏、甲子園で好走塁を見せた身長161センチの先輩井橋俊貴選手や、東東京大会で主軸を打った163センチの先輩森山将選手に励まされた。「自分だって先輩みたいになってやるぞ」
今春の選抜大会でベンチ入り。だが、6月に外れた。1日300球、ノックを受けた。練習が終わった後も200球を打ち込んだ。努力が実を結び、夏の東東京大会で、再びベンチに入った。決勝戦の延長十回に適時打を放ち、チームはサヨナラ勝ちした。
初めての甲子園でのプレー。広島新庄戦では、先発で出場した。九回裏1―1の同点で打席が回ってきた。「勝ち越しの走者になる」。右方向に打つことに意識を集中した。だが、打球は二塁手の正面に転がり凡退。しかし、守備では十一回表にヒット性の当たりをダイビングキャッチ。ピンチをしのいだ。
「派手じゃなくてもいい。チームのために自分の仕事をする。それだけです」。背丈のことはもう割り切っているという。だが、今でも「ちび」と聞こえるとつい反応してしまう。
野球は身長ではないことを証明したい。「一球一球に必死だった。自分の良さは守備で出せたと思う。もっとみんなと野球を続けたかった」(円山史)