捜索が終わり、車が残る現場を見る大和晃さんの家族。母忍さんは晃さんの名前を叫んだ後、その場を立ち去れず、しゃがみ込んだ=10日午後4時22分、熊本県南阿蘇村、後藤たづ子撮影
熊本地震で唯一の安否不明者である大学生大和晃(やまと・ひかる)さん(22)の捜索で、熊本県は10日、南阿蘇村の川で土砂に埋もれた車両から「人らしきもの」を見つけたと発表した。ただ、収容や引き揚げにはさらに時間がかかる見込みで、午後4時には作業を打ち切った。11日朝から作業を再開する。
不明学生の車か、両親らが発見 熊本地震・崩落現場下流
捜索現場は、地震後に土砂崩れで崩落した阿蘇大橋の下流約400メートル付近の川べり。県によると、県警や消防の捜索隊が周囲の岩や土砂を撤去したところ、車体が1メートルほど露出した時点で、運転席付近に衣服とともに人の体のようなものが見つかったという。
県警は、現場の状況から、見つかったのはかなり傷んだ人の体の一部とみている。車のナンバープレートや所持品などは確認できなかった。
捜索隊は11日以降、車両ごと引き揚げる方針。その後、県警科学捜査研究所によるDNA鑑定などで身元の確認を進める。
県は地上からの捜索を打ち切っていたが、晃さんの家族は7月24日、晃さんが乗っていた乗用車と同じ黄色の車体の一部をこの捜索現場で発見。県に捜索再開と車体の引き揚げを要請していた。
現場が見える場所から捜索を見守った父の卓也さん(58)は報道陣に「ああいった形で車があって、人がいるので、晃でほぼ間違いないと思う」と話した。
晃さんは、本震があった4月16日未明に阿蘇大橋付近を車で走行していたのを県警が確認している。県は一連の地震から約2週間が経過した5月1日に地上での捜索を中断。その後、梅雨入り前の6月1日に1度実施した。今回の地上での捜索は約2カ月ぶり。