タクシーが突っ込んだ病院近くの道路標識は、根元から無くなっていた=5日午前9時52分、福岡市博多区、日吉健吾撮影
福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院で3日夕、タクシーが突っ込んで3人が死亡、7人が負傷した事故で、タクシーが現場直前の道路で停車車両をかわすなどし、正常に運転していたことが福岡県警への取材でわかった。県警は事故の直前に急加速した原因を調べている。
県警は5日午後、運転していた個人タクシー運転手の松岡龍生(たつお)容疑者(64)=福岡市西区小戸4丁目=を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で送検する。
県警によると、タクシーは現場の病院へ続く直線道路へ左折した後、約350メートル直進。その間、左前方に止まっていた車を右へ回避するなどしており、異常はみられなかったという。病院の数十メートル手前で速度を上げ、正面の病院東館のラウンジに突っ込む様子が目撃されている。
松岡容疑者はこれまでの調べに「ブレーキを踏んだが止まらなかった」「ギアを変えてエンジンブレーキを使おうとしたが、減速しなかった」と供述。現場の約50メートル手前にある交差点には一時停止の標識があったが、「止まれなかった」と説明しているという。県警は、運転操作を誤ったか、車両に不具合があった可能性があるとみている。(井上怜、大野択生)