13日の初戦を前に練習で汗を流す創志学園の藤原駿也君=大阪市住之江区、村上友里撮影
熱戦が続く甲子園で、今春入学したばかりの1年生たちの活躍も注目されている。2年後の第100回大会で最上級生となる世代。高校野球史の節目の夏を視野に入れ、大舞台での経験を積み重ねている。
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
12日の第1試合では、クラーク国際(北北海道)の1年生3人が出場。敗れはしたが、8番右翼手として先発した浜本大地君が五回に適時二塁打を放った。「来年も再来年も甲子園に帰ってきて、勝ちたい」
今大会の代表49校で甲子園での背番号を手にした1年生は19校の計37人。ほとんどのチームでは1、2人だが、横浜(神奈川)と出雲(島根)は4人、履正社(大阪)など3校で3人がベンチ入りした。
13日には、創志学園(岡山)の捕手藤原駿也君が出場する予定だ。「度胸がある」と長沢宏行監督に見込まれ、6月から大会屈指の右腕高田萌生(ほうせい)君(3年)とバッテリーを組む。岡山大会全6試合に先発出場し、高田君が四球を出すとマウンドで「笑顔ないっすよ」と声をかけたことも。
「いい音で自分の球を捕ってくれる。捕手として信頼している」と高田君。長沢監督も「リードはまだまだだが、しっかり高田の球を捕っている」と評する。35人いる1年生部員で2年後の目標を話し合ったという。「100回大会で優勝する。そのためにも、この夏の経験を生かしたい」
9日に常総学院(茨城)に敗れた近江(滋賀)では1年生の北村恵吾君が4番打者を務めた。7点を追う四回2死一塁から好機を広げる安打を放った。長打力を買われ、入学後すぐベンチに入った。4番を決定づけたのは滋賀大会3回戦。満塁本塁打を放つなど7打点を記録し、多賀章仁監督を「長打を狙える可能性が一番高く、打席での雰囲気が4番」とうならせた。
「グラウンドで学年は関係ない」と北村君。第100回大会までを見据え、「全国には同学年でもすごい選手がたくさんいる。甲子園で倒していきたい」。
横浜(神奈川)の控え外野手万波中正(まんなみちゅうせい)君は190センチ92キロと、全出場選手の中でもトップクラスの体格。神奈川大会では横浜スタジアムのバックスクリーンにある電光掲示板に本塁打を打ち込んだ。だが、まだ満足はしていない。「総合力では他の1年生のほうが上。守備、走塁をしっかりやりたい」。初めての甲子園では「ホームランを狙いたい」と出番を待つ。「チームを引っ張り、同世代を引っ張る選手になりたい」と語った。(村上友里、杉浦奈実、飯塚直人)