三振を奪い、マウンドでほえる作新学院の今井=金居達朗撮影
(12日、高校野球 作新学院3―0尽誠学園)
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■作新学院 今井達也投手
作新学院の今井は、150キロを超えるスピード表示がスコアボードに出ても、気付かなかった。「ベンチに戻ったときに野手に言われて。実力以上だと思います」。狙ったところに制球された快速球を武器に、今大会の完封一番乗りだ。
二回1死一、三塁。「ピンチでは、自分が打たれても悔いのない球を投げる」と勝負球に迷わず速球を選んだ。左の渡辺には懐へ150キロ、続く右の松原には外角への151キロで、2者連続の空振り三振。松原は「気づいたらミットに収まっている感じ」と嘆いた。
左打者の内角=右打者の外角。ここの低めへの制球力は、「右投手の原点」と言われる。フォームのバランスが整わなければ投げ込めず、配球を組み立てる軸にもなるからだ。今井は元々、球が荒れるのが欠点。そのせいで昨夏は栃木大会で背番号11をつけたのに、甲子園ではベンチ入りを逃した。
克服すべく、昨秋から走者がいなくてもセットポジションで投げるようにした。400メートルや800メートル走などを6セットずつ行い、下半身も強化。「ただ速い球を投げるだけ」だった2年生の夏から、打者の反応を見ながらコースに投げられる大黒柱に成長した。
二回以降、毎回の13奪三振。このうち10個は、自慢の速球で奪った。今井は「腕がスムーズに振れて、指の引っかかり具合もよかった。一回から楽しめました」。自身初めての甲子園で、2年連続初戦突破の立役者となった。(井上翔太)
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○山ノ井(作) 一回無死一塁、三塁線を破る二塁打で好機を広げる。「先頭を死球で出して直球が増える、と思って狙った外角球をうまく攻められた」
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○入江(作) 七回に左越えソロ本塁打。「流れを引き寄せようと狙っていたけど、観客が盛り上がっていて、なんかすごいとこで打っちゃったな」